あきたポタリング日記

ポタリングとは、気の向くままに自転車で散歩をすること。 四季の美しい風景の中を のんびり走るのが好きです。 自転車に乗れないときは、不定期更新日記になります。

4月の終わり、電気自動車と自転車の旅(5)安曇野から日本海へ

4月の終わり、愛用の100%電気自動車・日産リーフに、BROMPTON(英国製折り畳み自転車)と寝袋を積み込んで、電気自動車と自転車の独り旅に出ました。

2022年4月28日(木) その2

大町の市街地を離れ、南へ向かって電気自動車を走らせます。
長閑な風景の中を15分ほど行くと、目指す目的地に着きました。

仁科神明宮(長野県大町市

仁科神明宮の創建時期は明らかではありませんが、900年以上の歴史があると考えられています。かつてこの辺りは、伊勢神宮への麻と和紙といった供え物を調達する「御厨(みくりや)」という土地で、仁科氏が治めていたことから「仁科御厨」と呼ばれていました。織田信長によって仁科氏が滅ぼされた後は、小笠原家(松本藩主)の保護により、そのまま明治を迎えます。

www.sinmeigu.jp

国宝「仁科神明宮」(長野県大町市

仁科神明宮は、伊勢神宮と同じく天照大神をお祀りし、社殿も同じく神明造(しんめいづくり)という様式で建てられています。建材にはヒノキが用いられ、木肌の美しさを生かした簡素で、直線を活かした様式が特徴になっています。社殿のうち本殿と中門、そして、この二つをつなぐ釣屋が、日本最古の神明造様式の建築として国宝に指定されています。

向かって左が本殿、右側が中門、真ん中がこの二つをつなぐ釣屋

伊勢神宮と言えば式年遷宮で知られますが、この仁科神明宮も伊勢神宮と同じように、20年に一度、式年遷宮が行われてきました。その詳細を記録した木造棟札が、1376年のものから35枚全て残っているそうです。

但し、伊勢神宮式年遷宮では隣接地に社殿を建て替えて、御神体をお遷しする「遷宮」が行われるのに対して、仁科神明宮では1636年(寛永13年)を最後として、その後は建て替えではなく造替(屋根の葺き替え等の修理)で現在に至っています。

現在の社殿は2019年に造替されたもの。次回は2039年

2019年11月に、仁科神明宮で20年ぶりの遷宮祭が行われました。本殿の主要な部分はそのまま、屋根は薄く剥いだヒノキの樹皮を幾重にも重ねていく桧皮葺(ひわだぶき)という技法で葺き直され、破損した部分も修理されました。次回の遷宮は2039(令和21)年に行われる予定です。

仁科神明宮から眺める北アルプスの山並み。

仁科神明宮をあとに、さらに南に向かって進んでいきます。
安曇野市に入り、神明宮からおよそ20分で次の目的地です。

大王わさび農場の わさびソフトクリーム

www.daiowasabi.co.jp

微妙な価格差とネーミングで、プレミアムを選んでしまいました。

ここを訪れるのも、たぶん30年ぶりぐらいになると思います。その当時から、大糸線穂高駅でレンタサイクルを借りて、碌山美術館・わさび農場・(安曇野に多い)双体道祖神などを回るというのが、ナウなヤングの定番コースでした。今は「安曇野ちひろ美術館」も加わっているので、見どころいっぱいの安曇野なのですね。

chihiro.jp

だんだん日没が近づいてくるので、早々に先へ、北に向かいます。
安曇野市から大町市を抜けて、佐野坂の分水嶺を越えて、白馬村へ。

大出の吊り橋(長野県北安曇郡白馬村

白馬村の風景を代表する場所です。北アルプスの山々を借景に、姫川の清流・茅葺屋根の民家、この吊り橋を含めて、日本の原風景とも呼べる景観です。白馬村Facebookページに掲載された写真を見て、ココは行かなくては!と思いました。

白馬村Facebookページに掲載された写真

残雪が融けていたり、光線が逆光だったり、サクラが散り始めていたり、いろいろと違うところはありますが、それでも充分にキレイな風景で心が洗われました。

ほぼ同じ方向から、ワタシが撮影した写真がこちら。

今日じゅうに日本海側まで移動しておく予定なので、先へ進みます。

日本海側の糸魚川と内陸の松本を結ぶ約120キロのルート、昔は千国街道「塩の道」と呼ばれていました。その名前の通り、上杉謙信武田信玄に塩を送った説話で知られます。今でも一部のルート、往時を偲ぶ「牛方宿」や「資料館」も整備され、ハイキング・トレッキングコースとして、根強い人気を集めています。

塩の道 千国街道(写真は2002年撮影)

白馬村から国道を北へ進むと、長野県最奥に小谷村(おたりむら)があります。

ここから県境を越えた新潟県糸魚川市に跨がるエリアは、1995年(平成7年)7月11日から12日にかけて、記録的な集中豪雨によって姫川で大規模な氾濫が発生。国道148号は基礎部の洗掘によりスノーシェッドが転覆、県境の国界橋が土石流で流出するなどの被害を受け、並行するJR大糸線も斜面崩壊や土石流により各地で寸断し、道路・鉄道の復旧まで約3年以上の年月を要する、大きな災害となりました。

7.11水害の被害状況(長野県ホームページより)

現在の国道148号は、このときの復旧工事によって建設された、いくつものトンネルと橋梁によって、快適なハイウェイとなって掛け抜けていきます。Google ストリートビューで辿る限り、かつての国道148号、姫川に沿って走るくねくねとした狭い山道や、落石よけのシェッドが続いていた道は、寸断されて廃道のよう。税金を使って道路が整備される一方で、並行して走るJR大糸線は昔ながらの、くねくねとした脆弱な路盤をゆっくり走る。これでは廃止論議が出ても仕方ないと思います。

tetsudo-ch.com

道の駅「小谷(おたり)」で急速充電と入浴と食事

日没が近づく頃、小谷村のはずれ、県境に近い国道上の道の駅「小谷(おたり)」に到着。ここでリーフの急速充電と入浴、そして食事を済ませていくことにします。

www.michinoeki-otari.com

日帰り「深山の湯」は源泉掛け流し。村内にある北小谷温泉と風吹荘源泉の混合泉だそうで、いつまでも浸かっていたいと思えるお湯でした。料金は660円ですが、併設のレストラン「鬼の厨」で食事をすると、入浴料の半額が割引になります。

うっかり写真を撮り忘れたので、ホームページの写真を拝借します。

日替わりかまど飯定食(道の駅ホームページから)

新潟県最西端の街・糸魚川で久しぶりに日本海と対面しました。もう少し早かったら、夕陽が見られたかも。日本海側に住んでいる人間にとって、海に沈む夕陽は別に珍しくもない日常ですが、旅先で見る夕陽はまた格別かも知れません。

道の駅「親不知ピアパーク」にクルマを停めて、休憩。

次はいよいよ自転車の登場。おやすみなさい。