あきたポタリング日記

ポタリングとは、気の向くままに自転車で散歩をすること。 四季の美しい風景の中を のんびり走るのが好きです。 自転車に乗れないときは、不定期更新日記になります。

「秋田市が北前船で日本遺産」の違和感

文化庁が発表した今年度の「日本遺産」に秋田市を含む、北海道から福井県にまたがる7道県11市町に残る「北前船寄港地・船主集落」が認定されたそうです。

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北前船は江戸時代、北海道や東北の日本海側と西日本を結び、米などの物資を運んだ船で、寄港地には取引で財をなした大きな商家や航海の安全を願って寺社仏閣が建てられ、北前船の船乗りを通じて独自の民謡や祭りが各地に根付いているとされています。

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(地図画像は水産庁/北前船寄港地より)

秋田市の土崎港は、室町時代には豪族の安東氏が湊城を築き、当時の重要港湾「三津七湊」のひとつに数えられ、江戸時代は佐竹氏久保田藩の藩港であり、北前船の寄港地として栄えました。今に伝わる「土崎神明社祭の曳山行事」(国の重要無形民俗文化財ユネスコ無形文化遺産)は、北前船の船乗りがみこしを寄進したことが始まりとされているということです。

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明治末期の石脇港(由利本荘市)と帆掛け舟、帆を下ろした北前船が碇泊している
国土交通省ホームページより)

関係者のご尽力には敬意を表するところですが、秋田市に「船主集落」と言われても思い当たりません。実際に「北前船」をキーワードに秋田を訪れた観光客には、何を見ていただいたら良いのでしょうか?

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これは秋田魁新報の記事に掲載されていた、今回の認定を受けた7道県11市町村の一覧ですが、なるほど何処も興味深い文化財が並ぶ中で、秋田市には、土崎港には北前船のゆかりの文化財が、何かあったかな?と気になりました。

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写真は私がポタリング途中で撮影した、2006年の「土崎湊御蔵」。
北前船の拠点として賑わい、秋田藩の経済を支えた土崎湊に、米などの交易物資を集積するため久保田藩が作った蔵として、200年以上の歴史を持っていました。これが近年まで残っていたのですが、残念ながら取り壊されてしまい、現存しません。

土崎は秋田県内でも唯一の空襲を受けた町でしたが、その戦禍をくぐり抜けてきた大切な遺産が取り壊されてしまい、今日では見ることが出来なくなっているのは、大きな損失だと思うのです。この蔵自体は民間所有だったので仕方ありませんが…秋田市が買い取って残す道はなかったのでしょうか。

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